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オペラ「トスカ」の魅力

(ドイツ文学者/松本道介)

イタリアの作曲家プッチーニの傑作のひとつ「トスカ」の魅力を語ります。


ドラマとしてもよくできた「トスカ」

 「トスカ」はドラマとしてよくできている。もしかすると、よくできすぎているのかもしれない。
 原作は19世紀末の第一人者ともいうべきサルドゥーである。フランス演劇の伝説的な名女優サラ・ベルナールが、サルドゥーの「トスカ」で大当たりをとっていた。


壮絶なストーリー

 芝居の「トスカ」を見たプッチーニ(Giacomo Puccini)はオペラにしようと考え、五幕だった芝居を三幕のオペラに仕立てあげた。トスカとその恋人の画家カヴァラドッシ(Cavaradossi)、悪役の警視総督スカルピア(Scarpia)という主役の三人すべてが壮烈な死をとげるのだからそのストーリーはすさまじい。


演劇「トスカ」の初演の頃…

 オペラの「トスカ」(Tosca)がローマで初演されたのは1901年1月。「トスカ」の舞台は丁度その100年前のローマである。つまり1800年の6月にフランスの若き将軍ナポレオンが4万の大軍とともにアルプスを越え、ミラノ東方のマレンゴ(Marengo)で、当時のイタリアを支配していたオーストリア軍と戦った。はじめはオーストリアが優勢だったのに、最後の局面へ来てナポレオン軍が逆転して勝った。そうした戦局の変化もオペラの第二幕で伝えられている。


トスカの適役マリア・カラス

 私は「トスカ」を何度も見たが、それ以上によく聴いたのは名ソプラノ、マリア・カラス(Maria Callas)の入れた2種類のレコードである(デ・サパータ盤とプレートル盤がある)。愛情が強い代りに嫉妬も激しいトスカという歌姫はマリア・カラスにぴったりの役だった。スカルピア役は両盤ともにティト・ゴッビがつとめている。


悪役にも魅力

 私も年をとってきたせいか、「妙なる調和」や「歌に生き恋に生き」といった美しいアリアよりも、スカルピアの憎らしくもまた美しい脅しの歌などが好きになってきたし、若い進歩派の若者たちをヴォルテール(注・ヴォルテールはフランスの哲学者で当時、反カトリックとみなされていました)の犬めと呼ぶ教会の番人を可愛らしいと思うようになった。

(ドイツ文学者/松本道介)


オペラ「トスカ」のあらすじは、このサイトからどうぞ!

Toscaの「適役」Maria Callasの歌声です。



文芸評論家 : 松本道介 

松本道介
1935年北海道生まれ。東京大学大学院修士課程修了。熊本大学、國學院大学を経て中央大学に32年勤務。中央大学名誉教授。文芸評論家、リヒャルト・シュトラウス協会理事。

著書に「近代自我の解体」(勉誠出版、1995年)、「視点」(邑書林、2000年)、「反学問のすすめ 視点Ⅱ」(邑書林、2002年)などがある。

「ドイツにはゲーテ、ホフマンスタール、トーマス・マンなどイタリア(とりわけヴェネツィア)に夢中になってそれが代表作ともなっている文学者が少なからずいます。それゆえ「ドイツ文学に於けるイタリア」というテーマを研究テーマにしているドイツ文学者も少なからずいます。私もその一人です。それゆえでしょうか、私は2005年にナポリのサン・カルロ歌劇場 Teatro di San Carloが来日した時のプログラム(永竹由幸氏監修)にヴェルディの「ルイーザ・ミラー」の原作者フリードリヒ・シラーについて書きました。」



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