母なるマタニティー

111030_1453~02.jpg 母なるマタニティー

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母親のことは、英語で mother (マザー)といい、妊婦さんの服などを maternity (マタニティー)といいますね。

このどちらも「母」を意味する mater (マテル)というラテン語を語源としています。

イタリア語では母親のことを madre (マードレ)というのですが、この mater (マテル)の「母」は、単に母親という意味だけでなく、「何かを生み出すもの、源(みなもと)、元になるもの」というイメージをもつと、コトバのイメージが広がってきます。

イタリア語で mater (マテル)がもとになっている単語を拾ってみると、「母なる、母の」という形容詞の materno (マテルノ)があります。

例えば、

lingua materna (リングア マテルナ =「母国語」)

という意味になります。

また matrimonio (マトリモーニオ =「結婚、結婚式」)という単語があるのですが、「結婚」が父でなく、「母」から派生している言葉だと考えると、とてもおもしろいと思います。

新しく家族を「生み出す」ということからでしょうかね?

私も個人的に、出産のことや胎児のことを知るにつけ、母親というのは本当に偉いな、生きるということを無駄にしてはいけないな、と思うようになりました。 

最後にもうひとつ。 mater を語源とした英単語で、私たちがとてもよく知っているものがあります。それは何かの仮想空間を「生み出す」ものとして、アメリカ映画のタイトルにもなりました。

考えてみてくださいね。


ひとりごと

私事で恐縮ですが、一週間前に妊娠7ヶ月になる子が、妻のお腹の中で亡くなりました。本当にショックで、涙のとまる日はありません。

この悲しみを乗り越えてほしい、という妻への励まし、そして、母親という存在すべてに敬意をこめて、今回の「母」をテーマに、このメルマガを夜中に泣きながら執筆しました。

母親という存在は本当に素晴らしいな、と思います。われわれはみな母親のお腹の中から生まれた、ということにあらためて感じ入る日々です。

また27週間というはかなき命であった我が子からも、本当にたくさんのことを気づかせてもらいました。それはまたいずれの機会に書きたいと思います。(2011年2月)

ホワイトハウスのイタリア語は

111030_1453~02.jpg ホワイトハウスのイタリア語は

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住まいの雑誌Casa BRUTUS

Casa BRUTUS(マガジンハウス刊)という住まい・建築雑誌をご存じでしょうか?この casa はイタリア語で「家」という意味です。
突然ですが、では、ここでクイズです。

「白い家」とはイタリア語でなんというでしょうか?

ヒントです。

イタリア料理店でメニューを見ると、「白ワイン」 vino bianco (ヴィーノビアンコ)、「赤ワイン」 vino rosso (ヴィーノロッソ)と書いてあるのを見たことがありますよね。

vino (ヴィーノ)が「ワイン」のことですから、
bianco は「白」、は rosso は「赤」です。

では、さきほどのクイズの「白い家」はわかりますね。

答えは・・・

casa bianca (カーザビアンカ)です。

(なぜビアン「カ」となるかは、casaという女性名詞についているからです。このご説明はまたの機会に。)

カーザビアンカ・・・。これは映画で有名な「カサブランカ」とよく似てるな~、と思った方はセンスがあります。「カサブランカ」はスペイン語でいう「白い家」です。よく似ていますね。

「白い家」は、英語のホワイトハウスのことですから、ニュースでもあのアメリカ大統領官邸のことをイタリア語で、 la Casa Bianca (ラ カーザ ビアンカ)といいます。

これで、「Casa」は、身近になりましたね。

logo_small.jpg vocabolari
  • casa (女性名詞) 「家」
  • biaco (形容詞) 「白い」
  • rosso (形容詞) 「赤い」

「アンコール!」

音楽のコンサートなど演奏が終わったあと、観衆が「アンコール!」というときがありますね。

このアンコールは、そのままフランス語( encore )やイタリア語( ancora )の日常的な単語になっています。

イタリア語の ancora は「アンコーラ」という発音で「もう一度、さらに、まだ」といった意味になります。

Non e’ ancora pronto. (ノンネ アンコーラ プロント)で「まだ準備できてないよ。」となります。

ところがこの ancora というイタリア語は、冒頭で述べたようなコンサートの場での「アンコール!」としては使わないのです。

まったく別の言い方をします。それは次のうちどれでしょう?

1.Ancora una volta! 2.Bis! 3.Bravo!

 

・・・答えは2番の「 Bis! (ビス!)」です。

なぜこの Bis が、日本語でいうところのアンコールなのか?

その謎解きはなんと「自転車」や「ビスケット」という単語が手がかりになってくれます。

 

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【ひとりごと】

私は「語源」(etimologia)を主なテーマにして、このイタリア語のメールマガジンを書き続けています。「語源」というとちょっと難しそうに聞こえるのですが、難しいどころか、とても楽しい「なぞなぞ」みたいなものです。

語学の勉強というのは継続が大変ですし、とかくスランプにも陥りがちですよね。

クイズを通して、へえーっと感じてもらったり、イタリア語の学習の息抜きや励みにしてもらえればいいな、と思って執筆しています。

今回のアンコールと bis のテーマもとても面白いので、多くの方に是非読んでいただきたいです。

「こんなことにつながっていたのか~!」となること請け合いです。

 

 

アリバイ

推理小説や事件で、犯罪を隠す証拠を残すことを「アリバイ」と呼んでいます。

このアリバイは、日本語として使っていますので、これを日本語でなんというのか?とわざわざ考えたことはありませんでした。

「現場の不在証明」なんていう言い方もあるようですが、アリバイはアリバイですよね。

ところが、先日、イタリアの探偵小説を読んでいたら、 alibi という単語が出てきたのです。イタリア語でもアリバイは alibi なのですね。イタリア語での発音は前にアクセントがつくので「アーリビ」です。

この alibi をよくよく調べてみたら、おもしろいことがわかってきました。

alibi はラテン語で、分解してみると「 alius 」+「 ibi 」になります。

alius とは「他の」という意味で、ibiは「そこに、同じところに」という意味です。

 

ということで、 alius + ibi = alibi (アリバイ)は、「他の場所」という意味だったのですね。犯罪でも、その犯罪の瞬間に「他の場所にいました」ということがアリバイというわけです。

では、ここで問題です。

この alius 「他の」+ ivi 「ところ」が合わさって、alibi(他の場所)という意味だとお伝えしましたが、このラテン語の alius は現代のイタリア語では、とてもとてもよく使う単語になっています。

最初の頭文字「 al 」がヒントです。

まさかこの単語と「アリバイ」が関係しているとは驚きです。考えてみてくださいね。

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【ひとりごと】

アリバイがラテン語だったとは、はじめて知りましたが、アドリブもラテン語です。今ではほとんど絶滅(?)した言語がまだ生き残っているなんて、ちょっとロマンを感じます。

アマゾンの密林で、絶滅したといわれていた動物を発見した!みたいな感動といったら大げさでしょうか?