民主党のマニフェスト

「マニフェスト」はもともと英語ではありません!

現在、政権を握る民主党ですが、「マニフェスト」と称して公約(?)を行っています。

この「マニフェスト」はあっという間にわれわれ日本人の間に広まりましたが、実はラテン語が語源で、manifesto は、イタリア語でも発音もつづりも「そのまま」使われているのです。

というより、イタリア語から英語を経由して日本に入ってきたという方が正確ですね。

ですから、イタリア語には manifestare (マニフェスターレ)で「明らかにする」という動詞まであるのです。

 

「マ二フェスト」の意味

このマニフェストは、意味としては、「宣言、声明文、公約」ですが、もともと、言葉を分解してみると、ラテン語で

manus (手) を fendere (打つ)となります。

つまり「手を打つ、手を叩くほど明白、明瞭なことを示す=宣言する」となったのですね。

民主党のマニフェストは、手を叩くほど明白で、それが実現されているかどうかはわかりませんが…。

ちなみに、この manus の「手」は、イタリア語では mano (マーノ)といいます。

 

カメラは暗室で

日本語の「カメラ」とイタリア語の「カメラ」を探ると…。

写真の「カメラ」は、外来語としてかなり古くからあると思います。ほとんど日本語といってもいいでしょう。今でも「デジカメ」という言葉にも「カメラ」という言葉が残っています。

何年か前にも無料のメールマガジンでも取り上げましたが、今日は「カメラ」がテーマです。

旅行先で、よく使うイタリア語のフレーズとして、

Vorrei prenotare una camera…

(ヴォレーイ プレノターレ ウーナ カメラ)

「部屋( camera )を予約したいのですが…」

というものがあります。

たいていは、日本語のカメラとよく似てるなー、なんて思う程度なのですが、この「部屋」の camera (カーメラ)は、写真の「カメラ」と何か共通点でもあるのでしょうか?

どうでしょう?

 

答えは「Yes」なのです。

もともとギリシア語の kamara (カマラ)が、「円天井」という意味で、そこから「部屋」になりました。

 

「写真」がどうしてカメラに?

写真が発明される頃は、camera obscura や camera lucidaと呼ばれる装置を使っており、暗い「部屋」(=暗室)や箱を利用していたことから「カメラ」と呼ばれるようになったようです。

ということで、イタリア語の camera も、私たちのおなじみのカメラも
もともと語源はいっしょだったのですね。

 

⇒ 既知(カタカナ外来語)から、未知(イタリア語)へ

camera (女性名詞) 「部屋」

 

 

乾かないうちがフレスコ画


絵画の「フレスコ画」はどういう絵の技法?

絵画で「フレスコ画」というのをお聞きになったことがあると思います。イタリア・ルネッサンス期の壁画などで、盛んに用いられた絵の描き方です。

ラファエロやミケランジェロの作品にも、フレスコ画があります。

このフレスコ画というのは、壁に漆喰(しっくい)を塗り、その漆喰が「乾かないうち」に、つまり「フレスコ( fresco )」な状態で、顔料で絵を描く技法のことをいいます。

この「フレスコ( fresco )」は、ずばりイタリア語。

意味は「新鮮な、さわやかな、新しい」という日常的な言葉なのです。frescoは「新鮮な」という意味のほかに、「涼しい、冷たい」という意味もあります。

 

「フレスコ」の使い方

例えば、

pasta fresca (パスタ フレスカ)

だと、どういう意味かわかりますね。新鮮なパスタ、ですから「生パスタ、打ち立てのパスタ」ということです。

野菜でも新鮮でとれたてのものはイタリア語で、  fresco と言います。そしてこの fresco は、変形して英語の「フレッシュ(fresh)、新鮮」になっているわけです。

でも、フレスコ画の画法と「フレッシュ」が結びついている日本人はあんまりいないでしょうね。「フレスコ画」は「フレッシュ画」だったわけですから。

ちなみにイタリア語で「フレスコ画」のことは affresco (アッフレスコ)ともいいます。

 

デカダンスとカデンツァ

デカダンスは「退廃」

今ではあまり使われることがないのですが、「退廃、堕落」という意味で「デカダンス」という言葉があります。

19世紀末の文学などのフランス芸術家の一派を「デカダンス」といったりします。

これは、踊りのダンスの一種だと思っている人もいますが(笑)そうではなくて、フランス語の decadence から来ています。イタリア語では decadenza (デカデンツァ)といいます。

何かが衰退する「転がり落ちて行く」イメージをしておきましょう。

 

カデンツァは音楽用語

一方、「カデンツァ」というのは、音楽用語で、バイオリンやチェロ、ピアノなどの協奏曲の中で、ソリストがひとりで即興のような独奏部を弾くところを指します。

オーケストラが演奏するのを止めて、一人舞台となるところです。

もともとはひとまとまりの音楽の「終わり、終止」の和音が進行するところを指しました。

cadenza とつづり、これはイタリア語です。

この decadenza と cadenza は、実は、どちらも共通した cadere というイタリア語動詞が基本になっています。

cadere とは「落ちる、転ぶ、終わる」という意味で、

「落ちる」ことから「デカダンス」の「退廃」
「終わる」ことから「カデンツァ」の「終止」

となったわけです。

ということで、iイタリア語動詞 cadere は、デカダンスやカデンツァとつながりがあったのですね。

例えば、

Sono caduto mentre scendevo le scale. 

「階段を上がっているときに転んじゃったよ。」

( cadere の過去分詞が caduto です)

となるわけです。

 

ラヴェンダーのlav


今回は、ラベンダー、にまつわる話題です。
花のラベンダー lavender は、
アロマセラピーのオイルにもなっています。

リラックス効果があるとされ、いい香りがしますね。
殺菌、消毒作用もあるため、古代ローマから、
カラダを「洗ったり」、傷口を「洗ったり」することに、
用いられていたようです。
この「洗う」のラテン語 lavo(ラヴォ)が、
lavender の語源となっています。
lav- を語源とする単語は他には、

私たちも知っている、
lavatory (ラバトリー、洗面所)があります。
イタリア語ならlav-は、
「洗う」というイメージとすぐリンクしてきます。
「洗う」という動詞そのものを、lavare (ラヴァーレ)というからです。

「お皿を洗う」でしたら、

lavare i piatti (ラヴァーレ イ ピアッティ)

となります。
洗浄やクリーンなイメージの、ラヴェンダー(lavendar)から、
lavare という動詞がカンタンに覚えられそうですね。

 

クアンタムとニュートリノ

物理学? ご心配なく!

何やら今回は難しそうなタイトルです。
ちょっと物理の用語を取り上げましたが、ご心配なく。

クアンタムとニュートリノという言葉、これは物理学の用語で、
私はまったくといっていいほどわからないのですが、
ときどき記事で目にすることがあって気になっていた言葉です。

クアンタムは quantum mechanics で「量子力学」といわれ、
原子や電子などの動き(?)、現象を説明するための物理の理論だそうです。

一方、ニュートリノは neutrino で、「中性レプトン、中性微子」といわれ、
素粒子のひとつだそうです。

(説明があっているかどうかもよくわかりませんが…)

いずれにせよ、2つとも物理理論に関わる言葉で、
難しそうですが、研究記事などに目にしたことがあるかと思います。

 

イタリア語のquanto, neutro

では、イタリア語とどう関わってくるかというと…、

まず「クアンタム」の quantum は「量子」というように、
「量」に関係してそうですね。

ということは、
イタリア語の「どのくらいの(量の)」の quanto (クアント)と同じ語源で、

Quanto costa? 「いくら?」の quanto としてとてもよく使います。

また、ニュートリノは、Torinoというイタリアの都市と関係があるかと
誤解している人もいるようですが…、

「中性」ですから、ニュートラル、
つまりイタリア語ですと

neutro 「中性の」
という形容詞につながってきます。
今回はちょっとアカデミックな単語ですが、こんなところにも
イタリア語とのつながりがみえてきます。

 

8月とローマ皇帝

8月とローマ皇帝アウグストゥス

8月がスタートしていますが、毎日本当に暑い日が続きます。でも9月になって涼しくなると、途端にこのうだるような暑さが懐かしくなったりするのが不思議です。

さて、この8月は英語では august 、イタリア語では agosto (アゴースト)というのですが、じつはローマ皇帝のアウグストゥス( Augustus 紀元前63年生まれ、14年死去)にちなんでいます。

シーザー(カエサル)の後継者であったアウグストゥスは皇帝に即位したのち、これまでの暦の8月の名称を、自分の名前に変えたそうです。

 

アウグストゥスからはじまったPax Romana

彼が皇帝として即位してから約200年間は、ローマ帝国は安定の時代を迎え、パクスロマーナ( Pax Romana )「ローマの平和」と呼ばれています。

なにげなく使っている暦が、古代ローマの皇帝の名前だったとはおもしろいですね。

ちなみにイタリアの切手にもなっているので、ご紹介しておきます。この切手にはaugustus imperatorと書いてありますが、このimperatorは、エンペラー(皇帝)のことです。

 

agostoというイタリア語の8月にも親しんだところで、イタリア語の暦のおさらいをしておきましょう。

gennaio(1月)
febbraio(2月)
marzo(3月)
aprile(4月)
maggio(5月)
giugno(6月)
luglio(7月)
agosto(8月)
settembre(9月)
ottobre(10月)
novembre(11月)
dicembre(12月)

 

キャプチャーとキャパシティ


毎回のテーマは、決まって日本語となった外来語からイタリア語が学べる、という内容です。

essere(be動詞)、parlare(話す)、fare(する)などの基本動詞もほとんどすべて私たちの知っている外来語と関わりがあります。

だからゼロから暗記する必要がないんですね。

さて、今回もそんなテーマの一つです。

パソコンで画像を切り抜いたりするとき「キャプチャーする」と言います。 (若い人の略語で「キャプる」という言葉もあるようですが)

また、能力やスタジアムの収容人数などを「キャパシティ」ということがあります。

英語ではcapture、capacityと綴ります。語源をたどるとcapには、 何かを「取る、捕まえる」という意味があります。

captureが「捉える」、 capacityが「とらえる力、取り入れる力 ⇒ 能力、収容能力」 となることがわかると思います。

このニュアンスがわかっているとイタリア語のアノ動詞につながってきませんか…?

capではじまる基本動詞といえば…?
そうですね。

capire という動詞は、capではじまり、 「取る、捕まえる」というニュアンスから 「わかる、理解する」につながることがおわかりになるでしょう。

Capisci l’italiano?(イタリア語わかる?)

などと使います。

キャプチャーやキャパシティもイタリア語を理解するカギになっていたのですね。

 

マイレージと1000歩

夏休みに入り、旅行シーズンとなりました。

飛行機によく乗る人にはすっかりおなじみの「マイレージ」があります。

この「マイレージ」とは、どれだけ移動したかの「マイル( mile )」数をためるわけですが、英語の距離の単位である「マイル」は、もともとラテン語が由来で、イタリア語にすると

mille passo (ミッレパッソ)

という言葉からきています。
ご存じの通り、mille は「1000」、passoは「歩み」なので、
「1000歩」⇒「1マイル」

ということだったんですね。本当に1000歩が1マイルになるかどうかは知りませんが…。

 

ということで、イタリア語の数字「1000」は「mille」(ミッレ)といいます。

また、単位の1ミリは、基準の1メートルの「1000」分の1なので、
mm(millimeter)の「mille」でもあります。

マイレージにも、ミリメートルにも、イタリア語の mille が隠れていたんですね。

 

外来語からフランス語を学ぶ!(番外編)

今回はイタリア語ではありませんが、フランス語も同じように私たちはたくさん知っています。特にバレエをされる方は、たくさんのフランス語を知らず知らずに使っています。気分転換にどうぞ。

例えば、今ではまったく使われなくなった言葉ですが、カップルのことを 「アベック」と言いました(その昔!)。これは avec というフランス語です。Tu viens avec moi? と言ったら、「君もいっしょに来る?」となります。

それから、おもしろいのは「サボる」でしょう。「サボる」はフランス語の sabotage (サボタージュ)に由来しています。「(仕事などを)ぞんざいに行う、妨害する」という意味です。

 

こんな風にして、日本人が実は知っていた隠れフランス語をあげると切りがなく、これを生かせばイタリア語と同じように、つづりや発音、基礎文法も学ぶことができます。

特にフランス語はつづりが難しいのですが、下のような実は知っている外来語をフランス語のつづりに 変換する練習を積めばカンタンに身につけることができるでしょう。

下にその他、私が思いついたものをあげておきます。ご参考まで。(アクセント記号などは表示できないことがあるので省いています。)

  • 「アンサンブル」 ⇒  ensemble (いっしょに、まとめて)
  • 「アントレ(雑誌の名前)」 ⇒  entree (入口、入ること)
  • 「アラカルト」 ⇒  a la carte
  • 「デジャブ」 ⇒  deja vu
  • 「デビュー」 ⇒  debut
  • 「シュークリーム」 ⇒  chou creme
  • 「アンケート」 ⇒  enquete
  • 「メゾン」 ⇒  maison
  • 「クーデター」 ⇒  coup d’etat
  • 「シャノワール(喫茶店の名前)」 ⇒  chat noir (黒い猫)
  • 「プチ」 ⇒  petit (小さい)
  • 「ランジェリー」 ⇒  lingerie
  • 「モンブラン」 ⇒  mont blanc (モンブラン、白い山)
  • 「オートクチュール」 ⇒  haute couture (高級婦人服仕立)
  • 「ミルフィーユ」 ⇒  mille feuille
  • 「フロマージュ」 ⇒  fromage
  • 「エチケット」 ⇒  etiquette
  • 「トラバーユ」 ⇒  travail (仕事)
  • 「ランデブー」 ⇒  rendez-vous (会合、合う約束)
  • 「パン」 ⇒  pain
  • 「クレヨン」 ⇒  crayon
  • 「ルネッサンス」 ⇒  renaissance
  • 「アンコール」 ⇒  encore
  • 「ヴァンサンカン」 ⇒  25ans (25歳)
  • 「シャンソン」 ⇒  chanson (歌、シャンソン)
  • 「アバンギャルド」 ⇒  avant-garde (前衛)

いかがでしょうか? きっと新鮮な発見があるのではないかと思います。

イタリア語ではこうした発想のもとに教材をつくっていますので、暗記に頼ることなく楽しんで学べます。

 

ボランティア活動

去年の3月11日の大地震のあとから、たくさんの人の温かい「ボランティア活動」によって、震災復興が進んできています。

この「ボランティア」とは、無給で人や環境運動などを支援すること、というニュアンスで使われていることが多いようですが、もともとの意味を探っていく必要がありそうです。
「ボランティア」は英語で
volunteer と綴り、形容詞は voluntary です。
語源をたどると

voluntas (ヴォルンタス)というラテン語に行き当たり、

「自由の意思、自発、願望、意向」といった意味があります。
つまり「自らの意思で、志願して」ということがボランティアという言葉の原義ですから、「ボランティア活動」は「自ら進んでやる活動」なんですね。

 

では、ここでようやっとイタリア語です!

まず、ボランティアの volunteer から「n」をとってみてください。

voluteer となります。

そこから語尾erを取ると…、

volute

何かイタリア語に近づいていませんか?
そうですね。

ボランティアとつながるのは、
volere 「~を欲する、~したい」という動詞で、

過去分詞は voluto となります。
例えば、

Ha voluto mangiare da solo.
(彼は一人で食べたがっていた。)

というように使われます。

ボランティアもイタリア語の
volere も、同じ voluntas が語源だったのです。

 

@とカタツムリ

chiocciola

今回は外来語ではありませんが、身近な@がテーマです。

メールアドレスに使う、「@」の「アットマーク」は、ご存知ですね。これは、英語の at をもとにしています。ところが、イタリア語では、全然違うのです。

「@」のカタチをよーく見て下さい。なんだか渦を巻いていませんか?

そうです。イタリア語では、「@」を、「カタツムリ」という意味の、

chiocciola (キオッチョラ)と言うのです。

アットマークと違い、可愛らしい言い方ですね。メールアドレスを伝えることは多いので、覚えておくと便利です。

 

ちなみに、楽器のヴァイオリンも、先端が渦巻きになっているので、この部分も

chiocciola と言います。

 

ローマ皇帝と7月、8月

いよいよ本格的な暑さがやってきました。夏休みも待ち遠しくなってきましたが、日本ではだいたい一週間程度です。

先日、あるイタリア人に今年の夏休みはどのくらい?と尋ねたら、「8月の一ヶ月」と言っていました。平気でこんなに長い休暇が取れるのはうらやましいですね。

 

さて、7月と8月は英語で、july と august というのはご存知の通りですが、イタリア語でも、luglio(ルリオ)と agosto(アゴースト)といい、ちょっとカタチが似ています。

なぜなら7、8月はどちらも古代ローマの皇帝の名前からとっているからなのです。

Julius(ジュリウス)と Augustus(アウグストゥス)という皇帝の名前がそれぞれ、

Julius ⇒ 英語の july、イタリア語の luglio
Augustus ⇒ 英語の august、イタリア語の agosto

となりました。

ちなみに休暇の「バカンス」ですが、イタリア語ではvacanza(ヴァカンツァ)といいます。

 

チョッキの「ベスト」


チョッキの「ベスト」から学べるイタリア語は

春になってチョッキやベスト姿をよく目にするようになりました。 と街行く人を見て思ったのですが、「チョッキ」と「ベスト」の違いは、なんでしょう。
特に違いはなさそうですが、ベストの方がなんとなく格好良いように感じます。

それはさておき、今回のネタはこの「ベスト」です。まさか、と思って調べたら、そのまさかでしたのでご紹介しましょう。

「ベスト」は、15~17世紀にイギリスやフランスの男性着として
着られていたものが由来とのこと。

言葉は、イギリス英語で vest 、フランス語で veste なのです。

ということは、イタリア語のあの単語に似ているような…、

 

veste, vestireという基本単語に!

そうです! veste(衣服)や vestire(着る)というイタリア語の動詞と関わりがあったのです。

元々古代のラテン語に vestis (衣服)があり、イタリア語でも veste や vestire などとして日常語として使われています。

この着るものとしての veste が今のフランス語やイギリスの英語となっていったのです。

衣服はドレスやセーターなどいろいろありますが、このチョッキの「ヴェスト」にその名残があったのですね。
vocabolario

veste 「名詞」「衣服」

vestire 「動詞」「着る」

 

黄金比とフィボナッチ数列

「黄金比」とフィボナッチ数列

美しい長方形のタテとヨコの比率は「黄金比」といわれ、数列やイタリアの数学の歴史に関係があるようです。数列の問題も用意してもらいましたので、ぜひチャレンジして下さい。

レオナルド・フィボナッチとは…

レオナルド・フィボナッチ(Leonardo Fibonacci 1170頃~1250頃)はイタリア・ピサで生まれ、エジプト、ギリシャ等を旅行して数学を学びました。ヨーロッパで学んだ内容を本にして出版し、数学をヨーロッパに本格的に広めた人物です。この本に記載されている数列がフィボナッチ数列として有名です。

フィボナッチ数列は、0、1から始まり、前の2つを足し合わせて作られる次の数列のこと。
0、1、1、2、3、5、8、13、・・・
自然界と関係の深い数列・数です。

自然界にも見られるフィボナッチ数列

ミツバチの家系をたどると子ども、その子どもの数はフィボナッチ数列となりますし、ほかにも花びらの枚数、木の枝分かれ、まつぼっくりのまつかさ,ひまわりのたねの配列などに、フィボナッチ数列の数が現れます。

フィボナッチ数列の隣り合う二つの数の比はだんだんと黄金比(1:1.618)に近づきます。


Fibonacci最も美しい黄金比

 

黄金比は(宇宙で)最も安定し美しい比率といわれており、パルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物、美術品の中にも数多く潜んでいます。

イタリアのルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ビンチも黄金比を発見していた記録があり、彼の作品の中にも多くの黄金比が潜んでいます。黄金比も同様に自然界と密接に関係していて、植物の葉の並び方や巻き貝の中にも黄金比を見つけることができます。惑星の軌道にも黄金比が関連あるとか。名刺、パスポート、本などの縦横比にも黄金比をみることができます。

フィボナッチ数列に関連した問題です。

ちなみに、この問題は1994年灘中の算数の入試問題です。超難関校の問題ですが、この問題は難問ではないので、ぜひチャレンジしてみてください。解いていくと、フィボナッチ数列に出会えるでしょう。

 

[ 問 題 ]

1辺の長さが1cmの正方形Aがある。

図のように、Aと1辺を接する正方形①をAの右へ描いて長方形を作る。次にその下へ1辺を接する正方形②を描いて長方形を作る。さらに、その右へ正方形③を描いて長方形を作る。
この操作を繰り返し行うとき、次の各問の□に適する数を記入せよ。 nada

(1)正方形⑥の1辺の長さは(  )cmである。
(2)正方形⑦を描いて作った長方形の面積は(  )cm2である。
(3)正方形㋐を描いて作った長方形の面積が初めて40000cm2を超えたという。アは(  )のときである。

解答・解説は下↓

 

 

 

答え (1) 13  (2) 714  (3) 12

次のような表を作成すると、(1)、(2)の回答が得られます。

番号
一辺の長さ(cm) 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144 233
長方形の面積
(cm2)
1㎝
×
2㎝
2
×
3
3
×
5
5
×
8
8
×
13
13
×
21
21
×
34
34
×
55
55
×
89
89
×
144
144
×
233
233
×
377

また(3)は、面積が40000cm2(=200cm×200cm)を超えたときなので、⑪か⑫であることが予想されます。

あとは計算して

⑪番目の長方形では、144×233=33552(cm2)、

⑫番目の長方形では、233×377=87841 (cm2)となるので、⑫が答えとなります。

表から、1辺の長さの縦横それぞれにフィボナッチ数列が現れることがわかります。

この問題はフィボナッチ数列の典型的な問題と言えますが、計算だけで十分に解ける問題になっているので、中学入試問題として出題されているわけです。フィボナッチ数列の本格的な問題(一般項を求めるなど)となると、現在では高校数学の範囲も越えます。

ちなみに、100番目などn番目の長方形の長さを知りたい場合は下の式のnに100などの数を代入して計算してみてください。(フィボナッチ数列の一般項です。)

Fibonacci_Fn

 

 

ここで、

ougonhi

 

 

ですので、黄金比の数が現れます。

自然界(宇宙)に存在する、フィボナッチ数列と黄金比は数式でもつながりを確認することができました。

Leonardo FibonacciのWEBサイトはこちら

執筆者 松本リサ

1984年東京生まれ。東京理科大学院工学研究科修士課程修了。小さい頃から数学好きで、大学・大学院では数学を応用した統計学を主に研究 (Journal of Probability and Statistics 2009The Pharmacogenomics Journal)。 現在はアクセンチュア株式会社に勤務。

 

ヴェネツィアの黄金の球

黄金の球(Venezia)

オーストリアの詩人・ホフマンスタールの「美しい日々の思い出」の舞台となったヴェネツィア。今回はこの街のある「像」にスポットを当てます。

オーストリア詩人を魅了したヴェネツィア

イタリアには美しい町が多い。ナポリにジェノヴァにミラノ、フィレンツェ……とすぐにいくつもの名前があがるなかで、私はヴェネツィアこそが一番だと思う。ヴェネツィアを訪れた詩人たちの紀行文も断然すぐれているし、なかでも好きなのは、世紀末ウィーンの詩人ホフマンスタールの「美しい日々の思い出」である。

著作「美しい日々の思い出」

この文章は“私”がカタリーナという少女とその弟フェルディナンドをつれてヴェネツィアの裏手の暗い水路から小船に乗って入り、サンジェミニアーノのアーケードからいきなりサンマルコ寺院の前に出る。折しも西日のあたる壮麗な広場をまのあたりにした少女は「これ本当なの?」「本当に本当なの?」と叫ぶ。

Basilica Sante Maria della Salute

黄金の玉の上に乗る男?

三人は広場と広場をかこむ寺院や塔やこれにつらなる建物を仰ぎ見たのち、小広場へ出て夕映の海の眺めに見入る。<今や、すべてが焔(ほのお)に包まれていた><黄金(きん)の球の上に乗る男が燃えていた>と詩人は書く。

 

その正体とは?

ところが<黄金の球の上に乗る翼持つ男>は権威ある文学全集でもよく間違えている箇所である。ホフマンスタールでさえ、よく知らずに書いたらしく、「翼」に見えたのは“角盃(かくはい)と船の舵(かじ)”であり、“男”は男ではなく“運命の女神”なのであった。その場所はサンマルコ広場の対岸、大運河の対岸にあるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会の東側に突き出した海運税関(Dogana da Mar)の屋上である。屋上に置かれたのは見事な黄金色の球に乗る“翼持つ男(女神)”。(写真左)

この像に気づく人は少ないし、その正体を知る人はもっと少ないだろう。そうした人間の一人として私はヴェネツィアに行くとまずこの黄金色の球を確認し、ヴェネツィアの本体に出会ったという思いにひたる。

ホフマンスタールも書いているように、黄金の球とともに輝くのは当の瞬間のみの太陽ではない。過ぎ去った年々の、いや幾世紀も昔からの太陽なのである。

(ドイツ文学者/松本道介)

「チャンドス卿の手紙」 他十篇 (岩波文庫)
ホフマンスタール (著), 桧山 哲彦 (翻訳)  
ここでご紹介した「美しい日々の思い出」は、「チャンドス卿の手紙」の中に収められています。


michisuke松本道介(文芸評論家)

1935年北海道生まれ。東京大学大学院修士課程修了。熊本大学、國學院大学を経て中央大学に32年勤務。中央大学名誉教授。文芸評論家、リヒャルト・シュトラウス協会理事。著書に「近代自我の解体」(勉誠出版、1995年)、「視点」(邑書林、2000年)、「反学問のすすめ 視点Ⅱ」(邑書林、2002年)などがある。

「ドイツにはゲーテ、ホフマンスタール、トーマス・マンなどイタリア(とりわけヴェネツィア)に夢中になってそれが代表作ともなっている文学者が少なからずいます。それゆえ「ドイツ文学に於けるイタリア」というテーマを研究テーマにしているドイツ文学者も少なからずいます。私もその一人です。それゆえでしょうか、私は2005年にナポリのサン・カルロ歌劇場 Teatro di San Carloが来日した時のプログラム(永竹由幸氏監修)にヴェルディの「ルイーザ・ミラー」の原作者フリードリヒ・シラーについて書きました。」

 

 

三次方程式とカルダノ

三次方程式とカルダノ

三次方程式の解の公式を解いたとされるカルダーノというイタリアの数学者に迫ります。最後に数学の問題もありますのでチャレンジしてみて下さい。

三次方程式の解の公式を解いたカルダーノですが…

文系の方でも高校1年生のとき、二次方程式の解の公式を暗記した記憶があると思います。ジローラモ・カルダーノ(Girolamo Cardano)は三次方程式の解の公式を導いた人として数学科に進学された方にとってはとても有名な人です。彼のお父さんはレオナルド・ダ・ビンチの友人で数学の才能に恵まれた弁護士でした。

彼は、ミラノ生まれのイタリア人数学者で三次方程式の解の公式は「カルダノの公式」と言われています…が、三次方程式の解は実際にはタルタリア(Tartaglia)という数学者が先に解いていました。カルダーノが絶対公表しないと誓いを立てたので、タルタリアはカルダーノに教えてあげました。しかし、カルダーノは自著でこれを公表したので、タルタリアは怒ってしまったという逸話があります。

四次方程式までも…

また、カルダノはこの本の中で四次方程式の解についても公表していますが、なんとこれはカルダーノの弟子であるフェラーリという人物(もちろんイタリア人です)が解いています。「カルダノの公式」と言われていることからもわかるように、どちらの公式もカルダーノのこの本によって広く知られるようになりました。

「ギャンブラー」だったカルダーノ
chess game彼は金遣いが荒く、本人は自分のことを賭博者やチェスのプレーヤーと考えていたようです。しかし、数学者らしく、効率的なイカサマの方法として、はじめて系統的に確率論に触れた本を書いています。

ギャンブルとは確率論!?

またカルダーノは「ギャンブラーにとっては、全くギャンブルをしないことが最大の利益となる。」という言葉も残しています。確率論の始まりはギャンブルです。そして、数学的(確率的)に考えれば、ほとんどのギャンブルは最終的にはギャンブラーが破産する仕組みになっていることが確認できます。数学者の彼のもっともらしい発言ですね。

「虚数」もカルダーノ

彼の悪いところを強調してしまったようですが、カルダーノは数学者として間違いなく優れており、二乗して負の数になる「虚数」の概念をはじめて導入した人物です。(例の三次方程式の解の公式に導入しています。)虚数がなければ現在の電気回路における電流と電圧の関係を数式で表すことは困難ですので、この分野の発展はないでしょう。また複素数の力学ともいえる素粒子の振る舞いをあらわした量子力学の発展もありません。よって、2008年にノーベル賞を受賞した南部陽一郎さんの研究も生まれなかったことになります。虚数は目に見える数としては存在していませんが、自然界に確かに存在していると考えざるを得ません。

[ 問 題 ]

では、先ほど紹介したカルダノの本の中に登場する次の問題を解いてみましょう。
問題:足して10、掛けて40になる二つの数はなんでしょう?
この問題で、彼は虚数の概念(ルートの中が負の数)を紹介しています。

解答・解説は…

 

 

 

⇒Girolamo Cardanoのイタリア語のwikipediaはこちら

松本リサ

1984年東京生まれ。東京理科大学院工学研究科修士課程修了。小さい頃から数学好きで、大学・大学院では数学を応用した統計学を主に研究 (Journal of Probability and Statistics 2009The Pharmacogenomics Journal)。 現在はアクセンチュア株式会社に勤務。

 

フレスコ画と漆喰

フレスコ画と漆喰

イタリア絵画で有名なフレスコ画と、日本の伝統的左官材料である漆喰(しっくい)は同じ材料であることをご存知でしたか?

イタリア絵画の傑作「フレスコ画」

システィーナ礼拝堂の「天地創造」そして「最後の審判」。フレスコ画の代表的な傑作です。見ているだけで圧倒される。言葉を失う。そういった人も少なくないことでしょう。それほどの迫力と美しさ、あるいは、作るのにかかった気が遠くなるほどの構想と苦労と時間と労力、それを本能的に感じ取り、圧倒されるのかもしれません。

フレスコ画とキリスト教と

Assisi

もともと、フレスコ画というのは、ルネッサンス初期に花開きました。なぜ、フレスコ画が、花開いたのか? それは、ルネッサンス初期のキリスト教の変化にその起源があります。キリスト教では、教典というものが存在していたため、その内容を教えるために、教える階級として司教がありました。彼らは、教典の内容を深く理解してもらうために、「絵」というイメージを利用していましたが、それまでモザイクタイルによる絵で行われていました。それを変えたのがアッシジの聖フランチェスコでした。

彼は、ルネッサンス初期に、お金がある上流階級だけでなく、貧しい庶民にももっとキリスト教を伝えなければならない。そこで、豪奢なモザイクタイルによる絵ではなく、壁面に、それまであった漆喰という材料に油と顔料を混ぜることにより、壁画を作成する、という質素なフレスコ画を考えたわけです。それをきっかけに、ルネッサンス期、フレスコ画による壁画が花開き、ミケランジェロの「天地創造」などに結実していきます。

日本にもある漆喰文化

思えば、日本にも漆喰の文化は古くから存在し、今もなお、むしろ今では高級な左官の壁仕上げとして存在しています。漆喰という材料は、下地作りから始まって、中塗り、上塗りという段階を経て、仕上げられますが、下地や中塗りの水のひき具合、季節による気温、材料の質等、色が白の場合でも色むらやヒビ割れをおこさないように、非常に気を使って仕上げられていく材料です。

それに例えば顔料を加えて、色付けを行うとなると、さらに気を遣います。こっちの壁とあっちの壁で色が違っていたり、色むらが出ていたりしたら、施主さんから何て言われるでしょうか? 自らの仕事として、左官屋さんは、消石灰と顔料の配合比率、つまり材料作りから非常に神経を使って仕事を仕上げていきます。

失敗の許されないフレスコ画

ひるがえって、フレスコ画です。一旦塗って、乾いてから、仕上がりの色が分かってくるという世界で、一度その色が違ったら剥がさなければやり直せない世界の中で、しかも剥がしてもうまく継ぎ目が補えるかわからない、つまり失敗が許されない世界の中で、あれだけの色使いと構想で実現されるフレスコ画。あれだけの絵を描き上げるために、おそらく先人からの気が遠くなるほど積み重ねられたであろう試行錯誤とその苦労と労力を想像するだけでも、しばし頭の中は呆然としてしまいます。

東京でのフレスコ画は、ジブリ美術館の天井画が有名ですね。また、漆喰を使った壁画、ということでは、最も古いものでは、高松塚古墳が有名です。フレスコ画、という漆喰を使った絵と、イタリアと日本のつながりに思いを馳せるいい機会になるかもしれません。(村越幹弘)

株式会社TNS代表取締役: 村越幹弘

村越幹弘

1974年、東京都生まれ。都立西高校、中央大学法学部卒業。その後、東京大学大学院にて国際法を専攻し、法学修士を取得。1999年オリックス株式会社に入社。宇都宮支店で3年間の法人営業を担当後、投資銀行本部にて債権買取・証券化・M&Aの業務に携わる。2005年3月末に同社を退職。株式会社TO THE NEXT STAGEを友人と立ち上げ、現在、株式会社TO THE NEXT STAGE 代表取締役、同時に家業の太平建材株式会社取締役としても活躍中。

 

香辛料もアロマ

日本語で「アロマ」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?

「アロマオイル」や「アロマテラピー」をイメージすることが多いと思うのですが、今日はこの「アロマ」という言葉にちょっとスパイスを加えます。

 

アロマの aroma は、ギリシア語・ラテン語が元で、ラテン語の aroma の意味は「香料」でした。
実はイタリア語でも、今も同じようにこの言葉が使われているのです。

イタリア語では aroma は「アローマ」と発音し、「芳香」のほかに「香料」や「香辛料」もアロマに含まれます。
日本では「アロマテラピー」という言葉が先に輸入され、それが略されて「アロマ」と言うようになったようですが、元々は「アロマ」という単語が先だったのですね。

ちなみに「アロマセラピー」は「アロマ」に「療法」という意味での therapy がついてできた言葉です。

このことを知っていると、  aroma という単語のイメージが少し変わってくるのではないかと思います。

aroma は、-aで終わりますが男性名詞で、

複数形になると aromi となります。

 

ニンニクや玉ねぎ、コショウ、バジリコ、パセリなど香りを加える食材を総称して aromi といいます。

 

ジェントルマン

ジェントルマンのgentle

今回は、イタリア語のある形容詞について学びます。

「学ぶ」といっても、いつものように 日本人がすでに多くのイタリア語を潜在的には知っている、そのことを再確認していただけると思います。

テーマは「ジェントルマン」です。

礼儀正しい男性を 「あの人はジェントルマンだ、ジェントルだ」と言ったり、トイレの扉には Gentleman と書いてあったりするので、慣れている外来語ですね。

この外来語の英語のつづりは、
gentleman、gentleです。

「ジェントルマン」は日本語では「(男性の)紳士」と訳すことが多いのですが、もともとはラテン語の gens、gentis が「種族、生まれ、家族」であり、 gentilis で「同じ種族に属している、同じ生まれの」
となり、そこから 「優しい、礼儀正しい」の gentle になったのです。

ということで、イタリア語でも同じように

gentile 「親切な、優しい」

という形容詞があり、

Molto gentile.  「ご親切に」

など、とてもよく使う単語になっています。
そして、さらには原語のgentisがもととなっている単語には gente があります。

C’e’ molta gente a Tokyo.  「東京には人がたくさんいます。」
のように「人々、人」という意味で使われます。

gente や gentile という単語はすでに知っていても、「ジェントルマン」とつながっていたとは驚きですね!