デカダンスは「退廃」
今ではあまり使われることがないのですが、「退廃、堕落」という意味で「デカダンス」という言葉があります。
19世紀末の文学などのフランス芸術家の一派を「デカダンス」といったりします。
これは、踊りのダンスの一種だと思っている人もいますが(笑)そうではなくて、フランス語の decadence から来ています。イタリア語では decadenza (デカデンツァ)といいます。
何かが衰退する「転がり落ちて行く」イメージをしておきましょう。
カデンツァは音楽用語
一方、「カデンツァ」というのは、音楽用語で、バイオリンやチェロ、ピアノなどの協奏曲の中で、ソリストがひとりで即興のような独奏部を弾くところを指します。
オーケストラが演奏するのを止めて、一人舞台となるところです。
もともとはひとまとまりの音楽の「終わり、終止」の和音が進行するところを指しました。
cadenza とつづり、これはイタリア語です。
この decadenza と cadenza は、実は、どちらも共通した cadere というイタリア語動詞が基本になっています。
cadere とは「落ちる、転ぶ、終わる」という意味で、
「落ちる」ことから「デカダンス」の「退廃」
「終わる」ことから「カデンツァ」の「終止」
となったわけです。
ということで、iイタリア語動詞 cadere は、デカダンスやカデンツァとつながりがあったのですね。
例えば、
Sono caduto mentre scendevo le scale.
「階段を上がっているときに転んじゃったよ。」
( cadere の過去分詞が caduto です)
となるわけです。