デカダンスは「退廃」
今ではあまり使われることがないのですが、「退廃、堕落」という意味で「デカダンス」という言葉があります。
19世紀末の文学などのフランス芸術家の一派を「デカダンス」といったりします。
これは、踊りのダンスの一種だと思っている人もいますが(笑)そうではなくて、フランス語の decadence から来ています。イタリア語では decadenza (デカデンツァ)といいます。
何かが衰退する「転がり落ちて行く」イメージをしておきましょう。
カデンツァは音楽用語
一方、「カデンツァ」というのは、音楽用語で、バイオリンやチェロ、ピアノなどの協奏曲の中で、ソリストがひとりで即興のような独奏部を弾くところを指します。
オーケストラが演奏するのを止めて、一人舞台となるところです。
もともとはひとまとまりの音楽の「終わり、終止」の和音が進行するところを指しました。
cadenza とつづり、これはイタリア語です。
この decadenza と cadenza は、実は、どちらも共通した cadere というイタリア語動詞が基本になっています。
cadere とは「落ちる、転ぶ、終わる」という意味で、
「落ちる」ことから「デカダンス」の「退廃」
「終わる」ことから「カデンツァ」の「終止」
となったわけです。
ということで、iイタリア語動詞 cadere は、デカダンスやカデンツァとつながりがあったのですね。
例えば、
Sono caduto mentre scendevo le scale.
「階段を上がっているときに転んじゃったよ。」
( cadere の過去分詞が caduto です)
となるわけです。
毎回、「なるほど、ヘエー」と、愉しく拝見しております。イタリアへ息子(現40才)と10年前に父子旅行をしたことがきっかけで、その後息子は妻子を私達に委ねて単独フィレンツエへ渡り(語学研修を当面の目的に)イタリア料理(フィレンツエ・トスカーナ料理ですが)も身につけて(イタリア料理協会の会員の認定証も貰い)、現在甲府でイタリア料理「トラットリア・ボーボリ」という店名で夫婦で頑張っております。
私はそろそろ古稀を迎えますが、息子同様「イタリア」大好き人間です。
息子はイタリア会話が出来ますが私は「トンとダメ親父」なのです。
「イタチカ」フアンで知り合ってから全てをPCに保存しております。
これからも、愉しい「イタチカ」を心待ちしております。
山梨県笛吹市「手打ち蕎麦処・右楽」 長澤 邦夫
cadere からの派生 面白かった。
一つだけ疑問があるのですが
decadenza の 「de」の役割は何か?、という事です。
「de-」を辞書で引くと、[接頭] ラテン語語源の「分離」「低下」「否定」「除去」の意。
とあります。
従って、decadenza は落ないで、上昇する、繁栄する、という意味になると思うのですが、実際には「衰退」を意味する。
これが分かりませ。
cadereは、外来語とは縁がなさそうに見えるのですが、そうでもありませんね。
dacadenzaの「de」ですが、この場合「下へ」の接頭辞で、英語で言うところのdownの意味です。
例えば、
decline「低下する、衰える」、declinare(イタリア語)
degrade「降格する」←「グレードが下へ」、degradare(イタリア語)
といった英語もあります。
decadenzaも、de(下へ)+cadere(転ぶ)という成り立ちです。