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三次方程式とカルダノ

三次方程式とカルダノ

三次方程式の解の公式を解いたとされるカルダーノというイタリアの数学者に迫ります。最後に数学の問題もありますのでチャレンジしてみて下さい。

三次方程式の解の公式を解いたカルダーノですが…

文系の方でも高校1年生のとき、二次方程式の解の公式を暗記した記憶があると思います。ジローラモ・カルダーノ(Girolamo Cardano)は三次方程式の解の公式を導いた人として数学科に進学された方にとってはとても有名な人です。彼のお父さんはレオナルド・ダ・ビンチの友人で数学の才能に恵まれた弁護士でした。

彼は、ミラノ生まれのイタリア人数学者で三次方程式の解の公式は「カルダノの公式」と言われています…が、三次方程式の解は実際にはタルタリア(Tartaglia)という数学者が先に解いていました。カルダーノが絶対公表しないと誓いを立てたので、タルタリアはカルダーノに教えてあげました。しかし、カルダーノは自著でこれを公表したので、タルタリアは怒ってしまったという逸話があります。

四次方程式までも…

また、カルダノはこの本の中で四次方程式の解についても公表していますが、なんとこれはカルダーノの弟子であるフェラーリという人物(もちろんイタリア人です)が解いています。「カルダノの公式」と言われていることからもわかるように、どちらの公式もカルダーノのこの本によって広く知られるようになりました。

「ギャンブラー」だったカルダーノ
chess game彼は金遣いが荒く、本人は自分のことを賭博者やチェスのプレーヤーと考えていたようです。しかし、数学者らしく、効率的なイカサマの方法として、はじめて系統的に確率論に触れた本を書いています。

ギャンブルとは確率論!?

またカルダーノは「ギャンブラーにとっては、全くギャンブルをしないことが最大の利益となる。」という言葉も残しています。確率論の始まりはギャンブルです。そして、数学的(確率的)に考えれば、ほとんどのギャンブルは最終的にはギャンブラーが破産する仕組みになっていることが確認できます。数学者の彼のもっともらしい発言ですね。

「虚数」もカルダーノ

彼の悪いところを強調してしまったようですが、カルダーノは数学者として間違いなく優れており、二乗して負の数になる「虚数」の概念をはじめて導入した人物です。(例の三次方程式の解の公式に導入しています。)虚数がなければ現在の電気回路における電流と電圧の関係を数式で表すことは困難ですので、この分野の発展はないでしょう。また複素数の力学ともいえる素粒子の振る舞いをあらわした量子力学の発展もありません。よって、2008年にノーベル賞を受賞した南部陽一郎さんの研究も生まれなかったことになります。虚数は目に見える数としては存在していませんが、自然界に確かに存在していると考えざるを得ません。

[ 問 題 ]

では、先ほど紹介したカルダノの本の中に登場する次の問題を解いてみましょう。
問題:足して10、掛けて40になる二つの数はなんでしょう?
この問題で、彼は虚数の概念(ルートの中が負の数)を紹介しています。

解答・解説は…

 

 

 

⇒Girolamo Cardanoのイタリア語のwikipediaはこちら

執筆者:R.M

1984年東京生まれ。東京理科大学院工学研究科修士課程修了。小さい頃から数学好きで、大学・大学院では数学を応用した統計学を主に研究 (Journal of Probability and Statistics 2009The Pharmacogenomics Journal)。 アクセンチュア株式会社に勤務。退職後、独立。