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「ラグーザお玉」

ラグーザお玉さんとは?

 

「ラグーザお玉」という方をご存じでしょうか? 明治の日本人女性で、画家です。明治初年から東京美術学校の教授をしていたイタリア人、ヴィンチェンツォ・ラグーザに見初められ、明治15年に結婚してイタリアへ渡り、その後、50年間イタリアのシチリア島にあるパレルモで暮らされた方です。国籍も、「イタリア人」になってしまわれた女性画家です。

なぜこの女性を紹介するかというと、この方がイタリア語に堪能であったことはもちろん(50年もいれば当り前ですが…)、さまざまなエピソードがとても面白いのです。なにせ、「人力車が走るか走らない頃」に日本を発ち、52年後に日本に帰って来られたのですから、浦島太郎みたいなものです。このことは恒文社の「ラグーザお玉自叙伝(木村毅編)」に詳しく書かれています。

そのエピソードのひとつをご紹介します。

 

日本語を忘れたものの…

 

ラグーザお玉さんは、日本人などほとんどいないイタリアの地方で、長い年月、生活をしていたため、52年ぶり(!)に日本へ帰ったときは、「日本語を忘れていた」そうです。しかし、ここからが、感動的です…。

「しかし神戸でいったん、日本の宿屋へ落ちつきますと、私は、子供の時に描きました自分の画稿を沢山見せられて、たちまちに沢山の日本語を取り戻しました。」

匂いやメロディーで何かを思い出したりすることがありますが、人間の感覚って不思議だな、と思います。

ラグーザお玉さんは、イタリアそのものに入り込んだという意味では、もしかすると初めての日本人女性ではないでしょうか?