「黄金比」とフィボナッチ数列
美しい長方形のタテとヨコの比率は「黄金比」といわれ、数列やイタリアの数学の歴史に関係があるようです。数列の問題も用意してもらいましたので、ぜひチャレンジして下さい。
レオナルド・フィボナッチとは…
レオナルド・フィボナッチ(Leonardo Fibonacci 1170頃~1250頃)はイタリア・ピサで生まれ、エジプト、ギリシャ等を旅行して数学を学びました。ヨーロッパで学んだ内容を本にして出版し、数学をヨーロッパに本格的に広めた人物です。この本に記載されている数列がフィボナッチ数列として有名です。
フィボナッチ数列は、0、1から始まり、前の2つを足し合わせて作られる次の数列のこと。
0、1、1、2、3、5、8、13、・・・
自然界と関係の深い数列・数です。
自然界にも見られるフィボナッチ数列
ミツバチの家系をたどると子ども、その子どもの数はフィボナッチ数列となりますし、ほかにも花びらの枚数、木の枝分かれ、まつぼっくりのまつかさ,ひまわりのたねの配列などに、フィボナッチ数列の数が現れます。
フィボナッチ数列の隣り合う二つの数の比はだんだんと黄金比(1:1.618)に近づきます。
最も美しい黄金比
黄金比は(宇宙で)最も安定し美しい比率といわれており、パルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物、美術品の中にも数多く潜んでいます。
イタリアのルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ビンチも黄金比を発見していた記録があり、彼の作品の中にも多くの黄金比が潜んでいます。黄金比も同様に自然界と密接に関係していて、植物の葉の並び方や巻き貝の中にも黄金比を見つけることができます。惑星の軌道にも黄金比が関連あるとか。名刺、パスポート、本などの縦横比にも黄金比をみることができます。
フィボナッチ数列に関連した問題です。
ちなみに、この問題は1994年灘中の算数の入試問題です。超難関校の問題ですが、この問題は難問ではないので、ぜひチャレンジしてみてください。解いていくと、フィボナッチ数列に出会えるでしょう。
[ 問 題 ]
図のように、Aと1辺を接する正方形①をAの右へ描いて長方形を作る。次にその下へ1辺を接する正方形②を描いて長方形を作る。さらに、その右へ正方形③を描いて長方形を作る。
この操作を繰り返し行うとき、次の各問の□に適する数を記入せよ。
(1)正方形⑥の1辺の長さは( )cmである。
(2)正方形⑦を描いて作った長方形の面積は( )cm2である。
(3)正方形㋐を描いて作った長方形の面積が初めて40000cm2を超えたという。アは( )のときである。
解答・解説は下↓
・・・
・・・
・・・
・・・
答え (1) 13 (2) 714 (3) 12
次のような表を作成すると、(1)、(2)の回答が得られます。
番号 | ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
一辺の長さ(cm) | 1 | 2 | 3 | 5 | 8 | 13 | 21 | 34 | 55 | 89 | 144 | 233 |
長方形の面積 (cm2) |
1㎝ × 2㎝ |
2 × 3 |
3 × 5 |
5 × 8 |
8 × 13 |
13 × 21 |
21 × 34 |
34 × 55 |
55 × 89 |
89 × 144 |
144 × 233 |
233 × 377 |
また(3)は、面積が40000cm2(=200cm×200cm)を超えたときなので、⑪か⑫であることが予想されます。
あとは計算して
⑪番目の長方形では、144×233=33552(cm2)、
⑫番目の長方形では、233×377=87841 (cm2)となるので、⑫が答えとなります。
表から、1辺の長さの縦横それぞれにフィボナッチ数列が現れることがわかります。
この問題はフィボナッチ数列の典型的な問題と言えますが、計算だけで十分に解ける問題になっているので、中学入試問題として出題されているわけです。フィボナッチ数列の本格的な問題(一般項を求めるなど)となると、現在では高校数学の範囲も越えます。
ちなみに、100番目などn番目の長方形の長さを知りたい場合は下の式のnに100などの数を代入して計算してみてください。(フィボナッチ数列の一般項です。)
ここで、
ですので、黄金比の数が現れます。
自然界(宇宙)に存在する、フィボナッチ数列と黄金比は数式でもつながりを確認することができました。
執筆者:R.M